障害福祉事業を安定して伸ばしていくためには、経営者の仕事と管理者の仕事をまったく別物として考えることが必要です。
この切り分けができないままでは、現場の安定も、職員育成も、事業の成長も実現しにくくなってしまいます。
経営者が担うべき仕事は、採用、資金管理、地域との連携、加算取得の戦略、事業全体の方向性づくりなど、未来に向けた判断です。一方で管理者の仕事は、日々のサービス提供を整えること、書類の管理、スタッフの育成、利用者支援の質を保つことなど、現場を安定させる役割になります。
この二つは性質がまったく異なるため、同じ人が両方を同時に担うと「どちらも中途半端」になりやすく、結果として事業が停滞します。児童発達支援コンサルや放課後等デイサービスコンサル、就労継続支援B型コンサルの立場から見ても、役割分担ができていない事業所ほど改善点の整理が進まず、同じ問題を繰り返す傾向があります。
実際に、管理者が事務作業をすべて抱え込んでしまっている事業所では、スタッフのフォローが追いつかず、利用者支援にムラが生まれます。すると、経営者が現場の穴埋めに入り続ける状態が続き、本来必要な事業計画の立案や加算戦略の検討が後回しになります。
結果として「現場も経営も落ち着かない」という悪循環が発生します。これは障害福祉事業コンサルとして非常に多く見てきたパターンで、役割が混ざれば混ざるほど、どれだけ努力しても組織が前に進まなくなります。
逆に、経営者と管理者の役割がしっかり分かれている事業所では、現場の動きが統一され、スタッフの育成が進み、利用者支援の質が上がります。経営者は未来に向けた判断に集中できるため、設備投資、採用、地域連携などがスムーズに進み、結果として事業全体の安定性が高まります。
障害福祉事業を安定させるために最も重要なのは、経営者は経営に集中し、管理者は現場の運営に専念できる環境をつくることです。
役割の混在はすべての停滞を生む原因になりますが、逆に役割が整理されれば、現場の質が上がり、スタッフが働きやすくなり、利用者支援のレベルも向上します。
「経営者と管理者は別物である」というシンプルな考え方を徹底することが、事業の未来を守る確かな一歩になるのです。