障害福祉事業は、開所して3年目に大きな分岐点を迎えます。この時期に直面する“成長期の壁”を乗り越えられるかどうかで、事業が安定軌道に入るのか、停滞してしまうのかが大きく変わってきます。
なぜ3年目に壁が訪れるかというと、制度の理解が深まる一方で、利用者数・職員数・加算体制など、運営の複雑さが一気に増すためです。開所直後は勢いで進められますが、3年目になると「持続的な運営」と「質の向上」が課題として浮かび上がります。特に多くの事業所では、以下のような課題が目立ち始めます。
こうした課題は、いずれも“運営が軌道に乗ってきたからこそ見えてくる壁”でもあります。
たとえば、障害福祉コンサルとして多くの相談を受ける中で、開所3年目の事業所には共通点が見られます。
開所1年目は、制度の習得と日々の運営で精一杯。2年目は、利用者が増えて軌道に乗り始める時期。そして3年目になると、最初に設定した仕組みや役割分担が追いつかなくなり、業務が煩雑化していきます。
また、職員数が増えると「誰が何を担当するのか」が曖昧になり、結果として事務作業が属人化しやすくなります。さらに、福祉事業立ち上げ 当初は意識しなかった“数字の管理”が必要になり、工賃・加算・収益のバランスが課題として浮上します。
利用者の支援の幅が広がる一方で、運営側の調整業務も増えるため、開所3年目は「支援」と「運営」の両面を見直す絶好のタイミングだと言えます。
3年目の課題は、決して「うまくいっていないサイン」ではありません。むしろ、事業が成長フェーズに入った証拠です。
この時期に直面する壁を正しく捉え、仕組みを整えることができれば、利用者満足度の向上、スタッフの安定定着、加算取得の最適化、そして事業の持続的成長へとつながります。
障害福祉事業は、仕組みを変えるだけで一気に加速することがあります。
開所3年目の“成長期の壁”は、事業がさらに飛躍するための大きなチャンスです。