福祉サービスを運営していると、どれだけ丁寧に対応していても「なぜかトラブルが増えてしまう時期」があります。放課後等デイサービスや就労継続支援B型でも同じで、現場の誠実さとは関係なく起きるケースもあります。
今回は、トラブルが増える背景にはどんな“見えないズレ”があるのかについてお伝えします。
利用者・家族との“認識のズレ”が積み重なるとトラブルは増えます。
福祉サービスの現場では、関わる人数が多く、それぞれの価値観や希望も異なります。
そのため、小さな認識のズレが少しずつ大きくなり、結果的に「トラブルが増えているように感じる」状況が生まれやすいのです。
ズレが起こりやすいポイントが、実はどこにも明確に言語化されていないからです。
例えば、
こうした日常の細かなポイントは、マニュアルに書ききれない上に、現場ごとに判断基準や運営スタイルが異なる部分でもあります。
そのため、サービス開始当初は問題がなくても、利用者の変化・家庭環境の変化・スタッフの入れ替わりなどが重なると、知らないうちにズレが蓄積していきます。
こうした“曖昧な領域”がそのままにされると、いつの間にか不安や不満が生まれ、トラブル件数が増えやすくなります。
現場でよく見かける「ズレ」の積み重ね
以下の内容は、実際にどの施設でも起こり得る一般的なものです。
初回説明では理解していても、半年・1年と経つと家族の期待値が変わったり、本人の状況が変化したりします。
しかし、その変化をすり合わせる機会が少ないと、双方の「思っていたのと違う」が増えていきます。
送迎や支援の細かな調整について、「言わなくても伝わっているだろう」と思い込んでしまうケースが生まれます。
ほんの小さな行き違いが後から大きな摩擦につながることがあります。
放課後等デイサービスでもB型でも、制度の枠組みの中で運営されていますが、
どこまで行うかは事業所ごとの考え方で微妙に差が出ます。
この部分が曖昧なままだと、家族が不満を感じやすい状況が生まれます。
利用者の状態が変わっても、当初の説明のままでサービスが進むと、
「前と違う」「説明がなかった」と感じられやすくなります。
トラブルの増加は、現場の努力不足ではなく“認識のズレ”が静かに積み重なった結果です。
利用者や家族の不安・不満が急に増えるわけではなく、日常に潜む小さなズレがゆっくり蓄積し、ある日表面化することが多いです。
どんなに誠実に運営していても避けにくい現象であり、施設規模や体制に関係なく起こり得ます。
このような背景を理解しておくことで、トラブルの原因を過度に「スタッフの責任」と捉える必要もなくなり、運営上の視点がより広がります。