放課後等デイサービスや就労継続支援B型では、日々の支援に集中していると“無意識の違反”が蓄積し、監査で思わぬ指摘につながることがあります。多くの事業所が「悪意はないのに、いつの間にか基準から外れていた」という状態に陥りやすいため、まずは“気づいていない落とし穴”の存在を理解することが大切です。
なぜ無意識の違反が起こるのでしょうか。
理由はとてもシンプルで、 現場が忙しく、制度が複雑で、習慣がそのままルールになってしまうから です。
たとえば放課後等デイサービスでは、日々の支援記録・個別支援計画・会議体の準備など、毎日の業務量が多くなりがちです。就労継続支援B型でも、作業支援・体調管理・利用者対応・工賃関連の管理が重なります。その結果、スタッフ間で“そのやり方が当たり前”として定着し、本来必要な基準とのズレに気づけないことがあります。
さらに、制度改正や地域差による運用の違いも影響します。以前は問題なかった方法が、翌年度には指摘対象になることも珍しくありません。こうした環境では、自分たちでは気づきにくい“盲点”が生まれやすいのです。
書いているつもりでも、求められている水準や形式が自治体の基準と異なることがあります。
定例化していても、内容の密度や記録の取り方が基準を満たしていないケースがあります。
忙しい日が続くうちに、本来の配置基準とのズレが起きてしまうことがあります。
利用者の成長に合わせた計画更新が遅れたり、根拠づけの部分が抜け落ちてしまうケースもあります。
これらはどれも“故意の違反”ではなく、“知らないうちに積み重なる歪み”です。だからこそ、監査で突然指摘され、大きな不安につながってしまうのです。
放課後等デイサービスや就労継続支援B型を運営していると、日々の支援に精一杯で、制度や基準とのギャップに気づきにくくなります。
しかし、監査で指摘される多くの項目は “無意識のうちに生まれたズレ” であり、現場が悪いわけではありません。
大切なのは、
「どこに落とし穴があるのか?」を正しく理解し、早めに気づける状態をつくること
です。
負担を増やさなくても、視点を少し変えるだけで、見えてくるものがあります。
制度の流れ・支援の本質・記録の意味を丁寧に確認することは、スタッフの安心にもつながり、結果として利用者のより良い支援にも結びついていきます。