利用者が集まらない理由は“サービスの質”ではない

サービスの質が高いのに利用者が集まらない理由は“支援力”ではなく届け方のズレにあります。放課後等デイサービスと就労継続支援B型に共通する見落としがちなポイントをやさしく解説します。

利用者が集まらない原因は支援ではなく“届け方”にある

■P(結論)

多くの福祉事業で「利用者が集まらない理由」は、実は“サービスの質”そのものではありません。放課後等デイサービスも、就労継続支援B型も、現場の支援が丁寧で、スタッフが誠実に向き合っている事業所ほど「なぜ選ばれないのか…」と悩まれます。しかし、利用に至るまでの導線を見てみると、別のところに原因が潜んでいることが多いのです。

■R(理由)

なぜサービスの質が高いのに、利用者が増えないのか。その背景には、事業所が伝えたい価値と、利用を検討する人が求めている情報の“ズレ”があります。
放課後等デイサービスなら「どんな成長が期待できるのか」、B型なら「自分に合った環境なのか」。本来伝わるべき内容が、ホームページ・インスタ・チラシ・紹介者への説明のどこかで薄まってしまったり、届くべき相手に届いていなかったりします。

 

特に 潜在層 と呼ばれる、「まだ利用検討までは至っていないが、どこか気になっている層」には、ほんの少しの発信の違いが大きな影響を与えます。
一方で 顕在層 はすでに情報を調べており、比較対象も明確です。ここに適切にアプローチできていなければ、いくら現場の支援が素晴らしくても「そもそも見つけてもらえない」状態になってしまいます。

 

つまり、サービスの質ではなく、“届け方の問題”が集客の差を生みやすいのです。

■E(具体例)

たとえば、放課後等デイサービスでよくあるのは「プログラム内容だけを伝えれば十分だと思ってしまう」ケースです。実際には、保護者の方は「通わせることでどんな未来が描けるのか」をもっと知りたいと考えています。
しかし、その視点がホームページに反映されていなかったり、言葉選びが専門的すぎたりすると、興味を持ってもらう前に離脱されてしまいます。

 

就労継続支援B型でも同じです。「作業が豊富です」「一人ひとりに合った支援をします」といった一般的な表現だけでは、利用を検討する人の心には届きにくい傾向があります。
支援の工夫や事業所の雰囲気は素晴らしいのに、それが表現されていなければ、魅力が“存在していない”のと同じ扱いになってしまいます。

 

これは決して間違った発信をしているわけではありません。ほんの少しのニュアンスの違いや、見せる順番、写真の選び方、伝え方の温度感などが、想像以上に大きな差を生みます。
この点は マーケティング導線 と呼ばれる分野で、多くの事業所が気づかないまま見落としてしまいがちなポイントです。

■P(まとめ)

利用者が集まらない理由は、支援力や経験値が不足しているからではありません。むしろ、誠実な支援をされている事業所ほど「伝わっていない」ことが原因になりやすいのです。
放課後等デイサービスも、就労継続支援B型も、選ばれる事業所には必ず“伝わる仕組み”があります。サービスの質を高めることと同じくらい、「どう届けるか」を整えることが、結果として利用者の増加につながっていきます。